バイオハッキングとは
みなさまお元気にお過ごしでしょうか。最近の寒暖差がある気候のせいもあり、どうもすっきりしない、5月病かもと思っている方も多いようです。
そこで今回はバイオハッキングをご紹介します。オーストラリア版ウィメンズヘルスによると
バイオハッキングとは何か?変えること。自分の体を理解して管理するにあたり、科学と根拠を重視するミレニアル世代やZ世代は、バイオハッキングにとりわけ大きな関心を寄せている。バイオハッキングは、それが体に与える影響を最適化するために何度も繰り返し行われるという点で儀式的。実際、ほとんどの人は普段の生活の中で何らかのバイオハッキングを行っている。例えば瞑想。アップルサイダービネガーを毎日飲むのも、定期的な運動やインターミッテント・ファスティングをするのも立派なバイオハッキング。
“一部の人”はバイオハッキングに本気で取り組んでいて、自分の体に装着するデバイスだけでなく埋め込むデバイスにも投資している。電子タトゥー、バイオスタンプ、パスワードピル、メモリーチップ、磁石インプラント、GPSシステムは、どれも既存の埋め込み型デバイス。多くの人にとって、こうした埋め込み型デバイスは装着型デバイスの延長線上にあり、現代のイノベーションを反映するもの。しかしながら、そのようなデバイスを通して莫大な量の個人データが企業の手に渡ることは言及に値する。でも、その問題はひとまず脇に置いておき、まずは比較的控えめなバイオハッキングの例を見ていこう。
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世界の著名なバイオハッカー
とはいえ、バイオハッキングについて調べていれば、いずれ、あらゆる手段と膨大な資金を用いて延命を試みているバイオハッキング界の興味深い重鎮たちと対面することになる。彼らはいわば、超が付くほどのバイオハッキング愛好家。シリコンバレーの起業家セルゲイ・ファゲは「より穏やかで、スリムで、外向的で、健康で、幸せ」な人間になるために、バイオハッキングに20万ドル(約3000万円)をつぎ込んだ。最終的にはロボットと合体してウルトラヒューマンになる気でいるファゲは、お金で時間を買うことのできる裕福なビジネスマンの1人である。
映画『ソーシャル・ネットワーク』でジャスティン・ティンバーレイクが演じたフェイスブック初代CEOおよびナップスター創業者のショーン・パーカーは、「私は億万長者なので、よりよいヘルスケアを利用する。160歳くらいまで生きて、“不死の大権力者”という階級の一員になるつもりだ」と言ったと伝えられている。
世界最大のサーチエンジン、グーグルのベンチャーキャピタル部門GV(旧グーグル・ベンチャーズ)の創業者で元CEOのビル・マリスも、“死の解決”を目指す企業「キャリコ」(California Life Companyの頭文字を取ってCalico)を立ち上げた。
しかし、バイオハッキングに誰よりも傾倒しているのは、46歳のテック系億万長者ブライアン・ジョンソンだろう。彼は、“プロジェクト・ブループリント”というアンチエイジングのライフスタイルに年間200万ドル(約3億円)を投じている。不死身になるための彼のたゆまぬ努力は物議を醸し、何度もニュースになっている。ジョンソンは厳格なヴィーガンで、あらかじめ決められた6時間の枠内で1日2250kcalを摂取する。毎朝5時起きで高強度の運動を1時間。1日111粒のサプリメントを飲み、定期的に(若い人の)輸血を受けて、ベッドタイムのルーティンは絶対崩さず、毎日必ず検診を受けている。スキンケアのルーティンは比較的控えめで、CeraVeのアクネコントロールクレンザーを愛用し、重度のニキビ治療に使われるレチノイド製剤のアキュテインを超低用量で服用している。夜はブルーライトカットメガネをかけて、勃起を記録する装置に自分の体をつなぐそう(若ければ若いほど勃起の頻度は高く、持続時間は長いと言われているため)。
もちろん、こういうことができるのは大富豪だけであって、普通の人はバイオハッキングに毎年3億円も費やせない。でも、もっとリーズナブルな価格で健康を促進できる一般向けのハックも数多く存在するというではないか。ここまできたら、バイオハッキングは正真正銘の一大トレンド。そこで今回は、欧米で大人気のワークアウトプログラム配信サイト「Set For Set」のエキスパート軍団が、一度は試す価値のあるバイオハッキングをリストアップしてくれた。
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2024年に試したいバイオハッキング・トップ10
1.アイスバス
アイスバスは、その名の通り水温が低い(場合によっては非常に低い)お風呂のことで、12℃前後の水に2~15分間浸かるのが一般的。アイスバスには筋肉痛や炎症の緩和、免疫システムの活性化、代謝の改善、睡眠の質の向上といったメリットがあり、入ったあとはかなり頭が冴えるらしい。
2.一貫性のある睡眠
快眠は現代人が喉から手が出るほど欲しいもの。だから、寝る前の飲酒、電子機器の使用、糖分の摂取は控えているかもしれないけれど、概日リズムのことまで考えている人は少ない。でも、これからは睡眠のスケジュールと一貫性の維持が大きなトレンドになる見込み。これまでの研究により、夜更かしや一貫性のない睡眠スケジュールは健康に悪影響を及ぼすことが分かっている。対策としてはまず、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きること。また、睡眠スケジュールはできるだけ太陽の動きに合わせたほうがいいので、就寝時間は可能な限り日の入りに、起床時間は可能な限り日の出に近づけよう。これぞ本当の早寝早起き。
3.定期的な血液検査
知識は力なりと言うけれど、最近は人々がいままで以上にデータと情報を追い求め、バイオハッキングの一環として定期的な血液検査まで開始した。病院の精密な検査でカルシウムやコレステロールの値を調べたり、ウェアラブルデバイスで血糖値や体内の脱水レベルを計測したり。その結果を見れば、心臓や循環器の健康状態も、腎臓や肝臓の機能状態も分かるから頼もしい。このことからも、現代人は先人よりも病気の予防に積極的と言えるだろう。
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4.レッドライト療法
レッドライト療法は皮膚の状態を最適化するために用いられる人気のメソッド。スパの定番メニューにもなりつつあるレッドライトは、ブルーライトよりも波長が短いため、皮膚の複数の層により深く浸透する。レッドライト療法はレーザー治療のアフターケアや傷跡、やけど、紫外線ダメージの治癒を促すためにも使われており、筋肉の回復、痛みと炎症の緩和、神経系の健康促進、活力の増進にも役立つとされている。スキンケアにレッドライト療法を使用すると、肌のトーンと質感が明らかに改善するそう。また、家庭用のレッドライト療法マシンも販売されている。
5.科学的な裏付けのある健康法
2024年の最優先事項にウェルネスを掲げる人は多いけれど、みんなもう昔ながらの健康ハックには興味がない。フィットネス&ウェルネス業界向けソフトフェア企業Mindbodyとフィットネス系マーケットプレイスClassPassが合同で発表している年次トレンド予測レポートによると、偽りの情報にうんざりした消費者は、科学に基づいた情報とパフォーマンスを重視するようになってきた。言い換えると、TikTokをはじめとするソーシャルメディアに誇大広告や根拠のないハックが溢れたことでますます懐疑的になり、確かなデータと効能のある商品しか買わなくなっているということだ。ウェアラブルのテクノロジーやバイオハッキングは、この傾向があってこそ一大トレンドになったと言える。
6.控えめなコーヒー摂取
コーヒーの摂取量を減らす動きが高まっている今日この頃。コーヒーの控えめ(50~300mg)な摂取は注意力と集中力、活力を向上させる一方で、過剰な摂取は不安や落ち着きのなさ、不眠や心拍数の増加といった悪影響をもたらす可能性がある。そのため、最近はコーヒーの代わりに抹茶、大麦を焙煎したオルゾ、チコリの根を取り入れる人が増えている。
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7.サプリメントの活用
私たちがサプリメントを頼るのはいまに始まったことじゃない。でも、2024年は過去最高にサプリメントの需要が高まりそう。その証拠に、2022年の時点で45億8000万ドルと言われたオーストラリアの栄養補助食品・サプリメント市場規模は、2030年までに98億1000万ドルに達する見込み。今年は特にサプリメントの消費量が増加しているけれど、この市場が飽和状態にあることを考えれば何も驚くことじゃない。サプリメントにはオプションが無限にあって、効能もまちまちなので、事前にしっかり調べてから購入しよう。プレバイオティクス、プロバイオティクス、ビタミンD、食物繊維、セレン、魚油のサプリメントは初めての人にもオススメ。興味があるなら、まずは医師やヘルスケアの専門家に相談を。
8.サウナ
サウナは循環器系に良いことが分かっている。高温にさらされた体は、心拍数と血流、心拍出量を増やすことで自分を冷やそうとする。その結果、血圧が低下して循環器系の調子が良くなり、寿命が延びるというわけだ。サウナの効果を最大限に引き出したいなら、30分のセッションを少なくとも週に3回。さあ、みんなで汗を流そう。
9.ブレスワーク(呼吸法)
呼吸とマインドフルネスのハイブリッド、ブレスワークの効果は絶大。これまでの心理学的研究により、ブレスワークは薬を使わずに感情面のバランスを取り戻す効果的な方法で、不安やうつ、ストレスも軽減することが分かっている。基本的にブレスワークとは、呼吸をうまくコントロールするスキルを身に付け、ストレス下で心を落ち着かせるためのツールとして使うこと。練習方法は比較的シンプルで、4秒かけて息を吸い、6秒かけて息を吐くだけ。これを1回のセッションで10分ほど繰り返す。朝と夜に1回ずつ行うと効果が出やすい。
10.インターミッテント・ファスティング
新しいトレンドではないけれど、年々人気が高まっているのがインターミッテント・ファスティング。これまでの研究結果は、インターミッテント・ファスティングを行うと、膵臓の再生が促進されて血糖値が安定し、糖尿病の症状が改善することを示している。豪アデレード大学の研究でも、1日の早い時間に食べてしまい、残りの時間はファスティングをする食事法は、2型糖尿病の発症リスクを下げる可能性を秘めていることが分かった。
注記:この情報は観測に基づいたものですが、健康に関しては必ず医師と相談の上、個人に合ったプランを立てるようにしてください。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
田中真由美